創書日和「流」 誘い涙
半知半能

流すというよりは
こぼれるという感じ
涙が線を
引いていく

まるで上から下へ
潤いを運ぶ川のように
一筋の流れがかすかに伝い

(ぽ、と)


                     すべての人々のために
                       心に涙を満たして
            やさしさの温もりと潤いを与えてきました
                             ただ
                生れ落ちてからの時間を数えては
              寒い眠りの床で闇に抱かれる一瞬前に
                   あて先のない溜息をついて
                           きました


こぼすものがあるということは
溢れるものがあるということ
溢れるものがあるということは
満ちゆく器があるということ
満ちゆく器があるということは
触われる形があるということ

教わったというよりは
思い出させてもらったという感じ
涙が線を
ふたつめ


                      それは必然のようで
                     しかし確証の無い約束
                     漏れることなく誰もが
                    気付けば隣に居る誰かと
                         手を温め合え
                             たら
                そのためにこの両手があるのだと
                             信じ





でも孤独

                             でも



一粒でも涙
一粒でも流れ
一粒でも川で
一粒でも至る先は海
一粒でもまた空に上る
一粒でも大切な真実

気付いてもらえたというよりは
伝えるのを待っていたという感じ
涙が線を
みっつめ よっつめ いつつめ


                             でも
                          わたしまだ
空に上れば
                         帰ってくると
信じてる
                            だから



            
              (ぽと)

              (ぽと)

              (ぽと)

              なんでか
               
            ようやくわたし自身

              素直に



ねぇ

いちばんに乾いていたのは言うまでも無く


誘い水に潤って
届けたかったものが
ひとことめ

やっと
流れ出して
 
 







自由詩 創書日和「流」 誘い涙 Copyright 半知半能 2006-10-31 10:45:39縦
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