記憶が呼吸する
ぽえむ君

昨日の記憶は新しいけれど
たくさんありすぎて
何が美しかったのか
すぐには見つからない

激しい記憶は勇ましいけれど
勢いが速すぎて
何が鼓動を高まらせたのか
すぐには出てこない

遠い記憶は薄いけれど
わずかに残っていて
綺麗なものだけが
そこから輝いている

止まった記憶は静かだけれど
ゆっくりと落ち着いていて
生きている呼吸が
そこから動き出してゆく

子どもの頃に見た
ぽっかりと穴のあいた広い雲が
いつまでも
記憶されている

記憶が呼吸する


自由詩 記憶が呼吸する Copyright ぽえむ君 2006-10-29 22:25:47
notebook Home 戻る