花魁
ごまたれ

着物を纏い
おしろいをはたき
紅い紅をひく
あとは道を行きかう男どもに
色目を使い やさしく手招きをすればいい
それがあたし達の仕事ってもの

嘆く女もいる
本当に抱かれたい人は一人だけなのに
かと思いきや
もっと稼がねば と鼻息を荒くしている

そんなに心が真っ二つなら
割り切ればいい

閉じていれば開くのがおっくうなもんだろう
もとから開いておけば
何も問題なんかありやしない

男たちはみんなゆっているじゃない
白いうなじが綺麗だ
赤い唇が妖艶だ
その声がそそるんだ
その表情がたまらないんだ

だったら磨き甲斐があるってものじゃない
商品を褒めて頂けてるんだから

心を守れば身を削るような仕事かもしれないが
快楽を求めていればこの上にない仕事

だけどなんだろね
こんなあたしにも
心の真ん中に北風が吹くような音がするんだ


自由詩 花魁 Copyright ごまたれ 2006-10-29 22:19:49
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