アンテナ
船田 仰

ふくらむエネルギー、幽霊世界で
「僕は悲しみがなくてはやってゆけない」というメール
高慢になることを遠くかんじてしまったぼく
きみにはぼくを悲しませるちからがあるよ
とても黒くろ黒くろ黒くろ黒くろ黒くろ黒くろ黒黒

みるみる暗くなってゆく
白いアンテナには電波がひっかかって
ぐらぐら
ぐらぐら
信号をまつひともいない車道をはしる
自転車のおとが
ここまできこえる

さっき半分残った煙草をすてたんです
ガムテープでぐるぐる
ぐるぐるぐるぐる
じっとりと油っぽいテープが隠蔽するすべてのもの
ああ
かていのごみはおかあさんがあつかっている、ので
僕はぐるぐるしたんです
十本でうちのめされるから
もういらない

白いアンテナに
きょうもひっかかっている
ベンチがつめたいもので
自転車のおともきこえる
ひとかけらでスイッチがはいるんなら
僕もアンテナになりたい
電気くださあい
もっともっとあかるくしてくださあい
どうか許してください
どうか
つぶやけばそれでいきなりかぜにさらされた気分がして
目が慣れてしまった
ぼくは
黒い空気を吸い込んで吐いた


自由詩 アンテナ Copyright 船田 仰 2004-03-20 14:32:16
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