十六歳だった
はな 


終りのない楽譜が
みみもとをかすめてはながれ
それはあめのように
また 空をさがしてゆくのでした

りんね なんか
しんじないよ
仏教徒じゃないもの
食洗器にお皿をならべながらわらった
けれど やわらかいあしあとはつづいてゆく

そんなふうに


いつものふとんのなかで
ばかみたいなゆめをみた
忘れようとしていたのに
心のばしょが
ゆらゆら して
窓からの白いひかりが 目にしみた

最近は慌てすぎて
時々 こきゅうを忘れた
ついこの間まで
びっくりするくらいふかく
しんこきゅうばかりしてきたくせに
酸素が足りなくなって
やっと、気がつく

あしあとをたどる
ほんとうはずっと 知っていたのだ





あなたは今頃
しんこきゅうをして
ちいさなてのひらで
にぎりしめている
わたしには見えないけれど きっと
悠久のさきで

空が剥がれ落ちてくる
なんてこと
もうきっとないね
十六歳だった
もう とどかない
でもきっと なんどでも生れるだろう

なんども
なんども





未詩・独白 十六歳だった Copyright はな  2006-10-27 10:24:24
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