ベランダにて
yozo

四時半夕刻
思い立ち
洗濯機まわす

陽が伸びた
空の
視線がちょっと痛い
わかってるよもう
春だってんでしょ
湿ったシャツと
生乾きの髪を
これみよがしに
風が撫でてく

季節が変わると
その色を忘れてしまう癖持ちで
もう一生
あの川岸を
カーデガン1枚で
歩くことなんか無いと
冬の間中
思い続けてた

朱色を溶いた
空がにじむベランダにて
今のクシャミは
洗い髪の芯が冷えたからじゃない
天気予報に花粉警報が出始めた

少しだけ膨らむ
桜並木の
蕾に気付く
わかってるよもう
終わったんでしょ

なくなったのは
恋じゃなく
たった
君っぽっちなだけ
ほんと
そんだけ


自由詩 ベランダにて Copyright yozo 2004-03-20 05:00:35
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