創書日和「流」 Lost Motion
大村 浩一

眠りの川面に
櫓を漕ぐ音が響く


木の葉も鳥の影も無い
冬のあとさき


ふりさけ見れば
男ひとりの舟


踏んばれば
ぬめるように揺れ


もうひとりの遺骸を
投げうつ


木の葉も鳥の影もない
冬のあとさき


彼岸は霧
此岸もやがて


ひかりの盆
カーブミラー


路肩に銘板された断層
太古 ここは河床だった


耳元に
櫓を漕ぐ音が続く


2006/10/25
大村浩一


自由詩 創書日和「流」 Lost Motion Copyright 大村 浩一 2006-10-25 18:40:35
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