言葉を忘れた
ウデラコウ

暗闇に 紛れて

このまま飲まれてしまうのも  悪くないと思った



理屈なんか通用しないのに
全てを理屈で
固めてたんだ



わかってる


あたしの負けだ





欠落がありすぎて
全てが機能しない
どこから直せば
あたしはまた起動してくれるの

錆付いた鎖を
自ら選んで

酸化された鉄の匂いを
染み渡らせるの




赤い色が緋い色に重なって
血の色になる






言葉を 忘れてしまったんだ


おかしいくらいに


何も思えなくて 何も口にできなくて






錆びた鎖に
冷たい雨が降る



滴る雫を眺めながら


壊れたように 

闇の中へ




手を伸ばす




ねぇ あたしを そっちへつれていってちょうだいよ







言葉を忘れた 夜に


闇に最後の誓いを立てる





欠落が多すぎるんだ

もう戻れないよ




意味のわからない声が 口から零れる




あぁそれは どんな意味だっけ








雨はまだあたしの上に降り続ける

錆びた鎖が 体に喰い込む










本当の 本当に




君が ――――







言葉を忘れたんだ。



だから もうあたしは 存在できない






闇が  すぐそばで 手招きをしてるんだ






冷たいけれど 全てを覆い隠してくれるような
泥が もう片足を 浸してるんだ











別れるときは 君になんて 言おうと思っていたんだっけ






もうわからないや


全てが 気だるく 酷く緩慢に 動いていくんだ




言葉を 忘れてしまったから



僕の存在を アレが 消しにきてるんだ




ほら、だんだんと



朽ちていく

















最後に 君に 言おうと思っていた言葉は



なんだったっけ?







自由詩 言葉を忘れた Copyright ウデラコウ 2006-10-24 16:22:22
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