Growing
さき

何度か夢を見た夜は
朝が辛い
真直ぐに誰かに差し向かえば
その夜が怖い
諦めずドアを叩けば
誰か出てきてくれるのだろうか
何の音もないドアを開けても
ただ
見慣れた私の町に続く
新しい世界


ここは確かに
天国じゃない
地獄でもないけれど
もしかしなくても次ぎの角曲がれば
たどり着くのはまた違う世界
私は今もこの辺が分からない
この世は闇
そして光


制服のスカートのひだ
数えて廻った
三つ編みの玉
数えながら解いた
もうすぐ夜が明けると
誰かが叫んだ
地平線が白んでいく様を
目を瞑って感じていた
見えるものを信じたくない
私は綺麗でなくて
でも
それ以外のもの全部
全部を私のものにしたいから


何度かの涙と
何度かのため息と
その都度の勇気に
思い描くような色をつけて
蝶にして空へ返した
あのドアを開く
いつも
重いローファーにつま先を沈めて
鮮やかな蝶が消えていく
突き抜ける空を眺めた


蝶よ
私の祈り
今日までと
明日からの
諦めとは違う
期待を
胸に
駆けていく
夜明け前


この鼓動を
忘れたくない







自由詩 Growing Copyright さき 2006-10-22 18:14:32
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