みどり みどり
木立 悟




雨が来る
雨は去る
屋根は
何も変わらない


陰の色の石があり
誰も通らぬ道があり
雲がひとつもない日にも
常に陰のままでいる


花は風に放られて
雨をつかまえ 落ちてくる
くさはらの尽きるところへと
雲の目の子は歩みゆく


ひとえ ひとえ
手に沈む
陰の石のうた
まばゆいからだ


窓が雨になる遠さ
水たまりを抱く
石はやわらかく
みどり みどり


煌々と鳴く
丘はしずく
手のひらの道
雲の子の道


飛び交うものからとどくふるえ
笑みと水紋(ひとえ ひとえ)
重なるからだ
浮き沈む花


遠去かる片方の目のなかに
陰が陰であるはじまりがあり
水銀の羽に囲まれて
うたいつづけ そよぎつづける


波の道 素足 石の道
雨と花 ひとり 両腕に降る
くさはらの胸(みどり みどり)
ゆうるりとゆうるりと目を閉じる











自由詩 みどり みどり Copyright 木立 悟 2006-10-21 15:12:33
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