ファイティング・おじいちゃん
ブルース瀬戸内

僕は虹が大好きです。
どのくらい好きといって、
僕のランドセルが
6時間分の授業の準備でいっぱいになって、
アルトリコーダーがささってるくらい、
そのくらい好きです。
少しわかりづらいけど、
なんというか、
僕にとってそれは大変なことです。

虹が見れることなんてめったにないから、
見つけたら見えなくなるまでずっと見ます。
見れたこと自体に感謝します。
何にお礼を言っていいのか分からないから、
今のところ虹に言っています。
それで合ってるのかは自信ないけど。
今のところ特に叱られてません。

今、虹が出ています。
もういないおじいちゃんも虹が好きで、
よく二人で見ました。
色を順番に言いあったり、
誰か歩いてないか目を凝らしたり、
願い事をしてみたりしました。

おじいちゃんはいつも
僕の願いが叶うようにと願ってました。
僕がふざけて、
おじいちゃんの願いが叶うようにと願うと
おじいちゃんはバカタレと怒りました。
笑って怒っていました。

今、虹が出ています。
僕はおじいちゃんが渡っていないか
目を凝らします。
よく見えませんが、
おじいちゃんは渡ってるに違いない、
虹の左端から右端に向かって歩いているに違いないと
何故だか確信したし
何故だか涙が出てきました。
おじいちゃんが遠いからかもしれません。



大きな虹です。

大きな大きな虹です。

次第に虹が左端から消えていきます。

あ、
おじいちゃん。

がんばれ、おじいちゃん。


自由詩 ファイティング・おじいちゃん Copyright ブルース瀬戸内 2006-10-18 01:03:08
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