僕の六本の指
水町綜助

タイプする

昼下がりのオフィスで僕はタイプする

思考の変遷を変換して銀鱗として

この僕が座っているらしい聞くところによると青いらしい地球というものは
太陽からの十月秋の日射しをゆっくりとぐるぐる体に巻く
僕はキリストが生れることより1978年遅れて生まれたもの
星の青さも知らされず
我が身の指の数さえ知らされず
唐突にただ無意識の意志のみをなすり付けられ落とされたもの

何をさせたかったのかなど、またそんなものがあるのかないのかさえも当然教えられるわけはない
たぶんきっと
知らされず
教えられず
ということばも空気に恨み言を投げかけているようなものだろう

あたたかいみずのなかから唐突に開けた視界
そこから数年
少しずつ感知が始まり
あるとき唐突に瞬間に自分をしる
僕の場合磨りガラス越しに青空のヘリコプターを見たとき幼児の目で
そこから理解を進め
思考して
疑念を感じ
思考して
疲れ
また習慣に癒され
呼吸をする
食事を摂る
そして心地よい日常の眠りに沈みそうになるとき不意に
空は割れ
自分の指が六本に増える現実を想像する
違和感を覚える理由は見当たらない
もともとなにも知りはしなかったのだから

僕は六本の指でタイプして手紙を書くかもしれない
そして青いポストに投函するかもしれない

思考の変遷を
意識の不確定と再構築を
変換して


自由詩 僕の六本の指 Copyright 水町綜助 2006-10-16 13:42:03
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