ミゼット(1〜10)
ミゼット


「マーブル」
盗む手の平の中に赤溶ける机に隠した白い罪たち

「ラム」
砂浜に焼け跡残して乙女去る贄の羊が丘の上で鳴く

「頭痛」
病む棘は所詮誰にも分からない晴れた日曜泣きたい独り

「白墨と砂」
砂を掻き死産の声を弔えばスカートの裾白く汚れる

「囚われる」
(格子降る赤いインクの染みに似て気違い女の姿幽かに)

「鳥を放つ」
いち、に、さん。残る面影空掴む彼女の右手煽られる髪

「森はどこまでも広がるのか」
冷える森   を持って分け入れば赤に惑いて自我を失う

「遠い日」
声の無き人魚が砂漠で見る夢は故郷の海か捨てた男か

「殺生」
壁際に君を追い詰め吐き捨てる苛立つ刃と干からびる虫

「黄金虫」
歌を待つ乙女は夜毎変化して細い翅のばし闇を霞め飛ぶ



これらは今まで発表してきた詩を短歌という形にしてみようという試みです。
短歌にする過程で自分の書いたものを読み解くことで、自身の再発見ができるかも、とか
書いたもののその前や後を想像する事で、作品を深く読めるかも、とか
一度短歌という形に凝縮してみることで、その短歌から新しい世界が見えるかも、とか
などと考えました。
平たく言うと、短歌の練習と作品の紹介をしちゃおうという、そんなリサイクルとリユース企画です。

参考作品
「マーブル」http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=53321
「ラム」http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=53428
「頭痛」http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=53529
「白墨と砂」http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=53648
「囚われる」http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=53753
「鳥を放つ」http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=53867
「森はどこまでも広がるのか」http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=53971
「遠い日」http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=54084
「殺生」http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=54220
「黄金虫」http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=54321





短歌 ミゼット(1〜10) Copyright ミゼット 2006-10-15 21:56:46
notebook Home 戻る