お嬢さん
あおば
まあ、いいか
あんこの味見をしながら
番頭さんが呟く
怖い顔の番頭さんが
甘そうな顔をして
店の向こうを見るときは
お嬢さんがやってくるのだと
知らない人はいない
手代になってからは
そんなに虐められたことはないが
丁稚の時は
目の敵にされた
甘い奴は
叩き潰して
追い出すのが決まりだと
後で聞いた
番頭さんの甘いところは其処なんだと
お嬢さんは知っているから
いい顔を見せない。
自由詩
お嬢さん
Copyright
あおば
2006-10-13 23:56:00