向こう側
Mélodie

所在ないよ
この手を加えた物が
少しずつ磨り減っていく

記憶は摩耗して
質感だけを生々しく残す

所在ないよ
君は黒髪翻し
我先にと誰よりも強く地面を蹴る

記憶は摩耗して
質感だけを刺々しく残す

所在ない僕

所在ない君

手を加えた夢ですら
温度を失って溶解していく

白くなるほど指先に
力を込めてその首を絞めてあげるよ

何処へ向かおうとも
所在ないからさ

僕を忘れていいよ
その日が来たら


自由詩 向こう側 Copyright Mélodie 2006-10-13 20:52:19
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