駅までの道
山崎 風雅

 難しいことは考えない
 人は考えたくないから本を読む
 僕は本を読まない
 思春期に読んだ本は数知れないが
 相手を攻撃するだけ
 自分を守るためだけに本を読んでた

 言葉だけは覚えた
 読むことは悪いことばかりでもない
 でももう難しい本は読まない
 自分で考える
 
 そんなこと彼女に話しながら歩いた駅までの道
 金木犀の香りが漂っていた
 アスファルトに斑点ができ冷たい雨が落ちてきた
 終電にはまだ早く
 改札口でしばらく話した

 僕達は結婚するのだろうか?
 全世界に人は何人いるか知らないけれど
 あなたほど心を許せる人はいない
 でもあなたに全てを寄りかかってる訳じゃない
 いくつかの恋愛で学んだこと
 最後は独りになるんだってこと

 でも時が過ぎれば消えてしまう花火のように
 この瞬間に眩しい時に溶けてしまいたい
 あなたと同じ思い出をつくりたい
 あなたが笑う声を聞きたい
 あなたに優しい自分が好きだ

 最低限自分一人で生きる力はほしい
 その上であなたを守って連れ添いたい

 別れはいずれ訪れる
 だからこそあなたといる時間が愛しい
 
 電車に乗り込み闇に消えるまで
 僕はずっとあなたを目で追いかけた











自由詩 駅までの道 Copyright 山崎 風雅 2006-10-11 01:52:22
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