わすれていくこと
吉田ぐんじょう


日を追う毎に
わたしの頭は
軽くなってゆくようです
わすれていくのだろうか
こんなにも容易く

赤信号が青に変わり
裏路地は繁華街になり
たった今あったものが
次々と消えてゆき
世界はずれてゆきます
一秒ごとに一ミリ
或いはもっと早く

さっきよりも
ずっと軽くなった頭で
くらくらっと歩いてみると
流れ星が流れました
お願い事をしようと
思いました
だけど
わすれてしまっていました
お願い事すらも

わたしは煙草を一本
くわえます
何年経っても
煙草の吸い方だけは
わすれないような気がしました



自由詩 わすれていくこと Copyright 吉田ぐんじょう 2006-10-08 16:10:40
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