ひとり みどり
木立 悟
何かを探る翼の音が
昼の終わりをすぎてゆく
短く密な闇の入口
まだあたたかな水の足跡
腕から肩へ
沈むように横たわり
つづくわずかな揺れのなか
じっと光を見つめている
ひとつの神の午後に降る
多神の陽を浴び 銀を帯び
途切れることなくつづく水の葉
歩むものらを濡らす明滅
見えない鳥を抱くように
鳥はときおりはばたきながら
鳥の像に背を向けている
ときおり見えなくなりながら
かわいた道の双つの水
結んで生まれる響きの道
ひとつひとつを指す声に
かわるがわる咲く花の色
羽が落ちて ひとりの木になり
目をあけたとき 誰もおらず
はばたきを聴き はばたきをまね
手から緑を降らせつづける