ひとり みどり
木立 悟




何かを探る翼の音が
昼の終わりをすぎてゆく
短く密な闇の入口
まだあたたかな水の足跡そくせき


腕から肩へ
沈むように横たわり
つづくわずかな揺れのなか
じっと光を見つめている


ひとつの神の午後に降る
多神の陽を浴び 銀を帯び
途切れることなくつづく水の葉
歩むものらを濡らす明滅


見えない鳥を抱くように
鳥はときおりはばたきながら
鳥の像に背を向けている
ときおり見えなくなりながら


かわいた道の双つの水
結んで生まれる響きの道
ひとつひとつを指す声に
かわるがわる咲く花の色


羽が落ちて ひとりの木になり
目をあけたとき 誰もおらず
はばたきを聴き はばたきをまね
手から緑を降らせつづける













自由詩 ひとり みどり Copyright 木立 悟 2006-10-05 21:16:20
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