(変転する、)黒髪
こしごえ

また会いましょう)


その黒髪の薫りは
つげの櫛に波立つ海原であった
その深海にひそむつめたさのかたちに
ささえられている波が
風色ふうしょくの移行を生んでいた
静まったかたちで、あざやかな質量が
ふるえる花びらの水晶で屈折して
原初音階をのぼりながら、青白い肌の灰色のささやきで
燃えてゆく

すんと仰ぐ視線の先、えん
とつからゆらめく煙
あのひとは
これをのこしていくのだ


(漂う
青雲に溺れそうな目差は
存在のまえでは無力
ふねは
海を渡るのだ
あなたとわたくしは
その未来でしか交わることはない
降るだろう雨
あがりの虹へ足をかけて


にじむ風光
あぁあれは黒揚羽
あのひとは
いまも








自由詩 (変転する、)黒髪 Copyright こしごえ 2006-10-05 15:51:01
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