思い出へ
海月

波音だけが静かに夜風に乗り
私の髪を通り抜けた

海面を漂う月
蟹は静かに砂に潜る

意味もなく
浜辺に文字を書いた
同じ波は二度と繰る事無く
私の足元をすり抜けて消えた

秋の海は夏の暑さや冬の寒さや春の暖かさ
どれとも違う感情が溢れている

何処から流れ着いたガラス瓶
半分に割れたヤシの実

私が存在する理由とは?
問い掛けた言葉は悲しく宙を舞い
光の届かない深海に沈む

明日、目覚めたら帰ろう
心の中にある故郷おもいで

そっと口付けを交わし
全てを忘れて生きていく
もう二度と迷ったりしない

だから
今宵は静かに眠りつくよ


自由詩 思い出へ Copyright 海月 2006-10-05 00:40:15
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