秋のカレーパン
ぽえむ君

カレーパンは秋に食べるのが
一番美味しい

道を歩きながら
秋空に向かって食べる味は
格別にうまい

袋を開けると
油の匂いが風にブレンドされて
まろやかな匂いになる

開ける口に
当たりと外れがあって
外れてしまったら
三口食べないと
カレーに辿りつかない
口をもごもごさせながら
歩くことになる
ようやくカレーが出てくる頃には
うろこ雲を見失っている

最初の具はにんじんで
山の紅葉の味がする
よく噛んで食べるけど
ゆっくりと辛くなってゆく
ああやっぱりカレーパンだと思う一時だ

真ん中は
器用に食べていかないと
具が落っこちてしまうので
知識と経験でカバーする
赤とんぼを目で追いかけている
余裕はない

今日もマニュアル通り
おいしく食べられた
口の中で
辛さが消えるまでは
ごちそうさまは言わない

カレーの辛さは
秋が消してくれるまで
自然に待つ

今日のカレーパンは
一番好きな秋味だった


自由詩 秋のカレーパン Copyright ぽえむ君 2006-10-04 22:41:59
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