傷みやすい世界
加藤小判

赤ちゃんは
なにもかも食べられる

柔らかい皮膚に覆われた世界
賞味期限のある世界

その皮膚は傷み
少しずつ剥がされてゆく

火傷した空は潔く腐ってゆく

私達は
問いがそのまま答えとなり、
その答えがまた、新しい問いとなるような
円環を生きている

そう
私達は
傷みやすいナマモノ
食べられて排泄される
死んだ世界
生きてる世界

いま
どこかで
誰かが自殺しようとしている
答えのない問いを生きようとして


自由詩 傷みやすい世界 Copyright 加藤小判 2006-10-03 01:20:58
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