余光
静山和生


            輪廻の等級を破砕させ並走する
            熱の一筋の恥ずべき白光を呷っ
            て徐々に薄くなってゆく唇

            成り行く予覚の水辺を開く音節
            の分岐を投下し続ける銀翼の類
            が分銅の均衡をついばむ昼

            
            唯、物である事を


            等級の裂傷からえぐりだした遠
            景の丸みをおびた黒点を支える
            空の秋波を静かに海に沈め

            いずれ再起する写像のために肯
            定を繰り返す核の無い芯へ遠の
            く親しさだけを忘れてゆく

            
            曖昧な決壊が
            水浴者を沖へ
            汐の性の中心へ

            
            分銅の均衡が
            溺れる白熱に
            まみえるための            


自由詩 余光 Copyright 静山和生 2006-10-02 21:08:37
notebook Home 戻る  過去 未来