無言のまま語る彫刻
こめ

自ら檻の中に入って

ビクビクしながら水道から

水滴の落ちる音を数えていた

定規で正確に書いたはずの

直線は曲がって一個の円になった

目から流れる涙には

思いが100詰まっている

スッポットライトを浴びている

どこのだれがつくったのかわからない

男の彫刻は無言のまま語っていた

世界を眺めながら

手を伸ばせばそこにあったものが

今は無くて途方にくれながら

なきじゃくりながら必死で捜した

手探りで闇の中を捜してたら

一時の光が見えて

そのまま世界が止まっていった

もし君がそこにいるなら教えて欲しい

僕が君にとっての何かをね


自由詩 無言のまま語る彫刻 Copyright こめ 2006-10-02 19:42:59
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