カタクチイワシの仔猫たち
あおば


世界のかたちを考える。

世界のシクミをかんがえて
ネコノココネコノコノコと
カタクチイワシを追い求め
ワレタイロシタガケップチ
月夜の仔猫は行き止まる。

打ち砕け!
壊れた色した宇宙船
月の女神の歌う声
セイタカノッポの赤ん坊
ヒダリノオメメガヒラカナイ
オレンジジュースを欲しがって
ドリンクサービス品切れた
お酒の時刻に遅れます
メダマのようなビタミン剤
世界のかたちを考えた
カタクチイワシの仔猫たち
油断するなと蛙が鳴いた。

空がとんでゆく。

林の影もなくなって
貝殻が見えてくる
カイガラ
カキガラ
掻き鳴らせバラライカ
昔の人の住居跡
土の中から現れて
ミュージィシャンになり損ね
掻き鳴らすバラライカ
サンバのリズムに乗り損ね
ガラガラ声を張り上げて
カタクチイワシの骨拾う
遠い昔の貝塚に
月が差しますど真ん中
寂しい影の通り道
やさしい風が吹いている。

まんまる月夜の
太った鰯の通う道
仔猫の群れが集う道
セイタカノッポの赤ん坊
見てきたような顔をして
にこにこ笑って這って来て
世界のかたちを整えた。





自由詩 カタクチイワシの仔猫たち Copyright あおば 2006-10-01 23:55:56
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