遺すもの
ゼッペルゲン

今を遺す。

色んなものが発展した。
でも、今のこの瞬間は残せない。

音も、映像も保存できるけど、
今、自分が考えてることを全部思い返すのは無理なんだ。

今を考えている内に今が過ぎている。
考えた瞬間に、すべてが過ぎ去っている。

忘れていく、忘れている。
自分が何をしたかったのか。自分にどんな夢があったのか。

ヒトは、忘れるのを恐れている。
だから伝えようとする。

伝えても自分は残らないけど、自分の思いを伝えたいから。
音楽でも、文章でも、絵でも。
みんな、伝えたいんだ。

でも、ヒトは伝えたかったことを忘れてしまうのが怖いから。
ヒトはカタチじゃなくなるのが怖いから。

だから有名になろうとするのかもしれない。
だけど、有名になりたくて作っているわけでは無いはずなんだ。

こんな、思った端から消えていくような思いの欠片が、
誰かの心に残ればいいと。

みんな思って、詩を書いているのかもしれない。


自由詩 遺すもの Copyright ゼッペルゲン 2006-10-01 00:32:49
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