百合の葬
umineko

あの日
花を活けている母のそばで
私は
剣山を手に押しあてて
痛み
その直前で手を止める
残虐な笑み

横たわる百合の花
その白さと
花の奥
見てはいけない遠い闇

青い花器に
飾られるのは死んだ花
死んでしまった花たちが
それぞれの横顔で

美しいほど深い森
突き出された
危ういしらべ

それは
遠いおとなの闇に
似ていたようだ、と
かすかに思う

横たう
貴方の輪郭に
私は
百合の深さを思う

見てはいけない遠い闇
私は
見えない空を見る

ゆだねる
貴方は死んだ花

どこまで
貴方は貴方のままで


 



自由詩 百合の葬 Copyright umineko 2006-09-26 08:06:37
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