思い出の街には犬が笑う
プル式

遠くに見える軒先の明かりは
線香花火の様に見えました
それは小さく あか
瞬きをする度ににじんで
まるで線香花火の様でした

どこかで歌う声はささやきながら
私の体に染み込みました
それははかなく それはつたな
呼吸をする度に染み込んで
まるで夕暮れの土の匂いの様でした

暗くなっていく空に浮かんだ星は
もう何処にも行けませんでした
それは静かに 微かに
目を開こうとする度に幻となり
まるで手招いている様でした

私にはもう何も見えません
あなたの想いも
あなたの顔も

どこかで歌う声は囁きます
人生は小舟みたいなものだと
優しい土の匂いが包みます
私は何処に行くのでしょう


自由詩 思い出の街には犬が笑う Copyright プル式 2006-09-16 20:30:32
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