誉められるものじゃなくても
ピッピ
誰かの手、誰かの背中、誰かの舌、誰かの心、これがあたしか
10月は涼しいもんね夏休み連日連夜のお誕生会
「あたしたち群馬のまーのてんてんの下に住んでる人類なのね」
パチンコの照明ばかりが助手席の彼女の頬を濡らしていった
バスを待つでもなく雨のバス停に座ればバスは勝手に止まる
泣きながらパンツを見せてこようともロリコンなのでどうにもならぬ
ストーブの前で寝言を言う君の鼻を押さえてやろうと思う
憎んだり願っただけで死ぬ世界誰もいなくて天国みたい
「心配してくれてるんだ」と酩酊の運転席の上にて思う
君の手がパチンパチンとたどたどしい音を立てれば蚊の血が花火
花壷の蜜、水芭蕉の香り、空、あの人はこんなにも風景の一部で
『実験室2で』と書かれた黒板の(誰か見ている)前でやりたい
河に比喩されるものでも吾の内の海につながるものはわずかだ
「真夜中の二人乗りって危ないね」ってアヤコ(17・処女)が笑って
「今だってここにいるよ」と叫んでも届いていない 霊だから