海を連れて帰る
LEO


曇った空の下では
海も鈍い色をしていた
打ち寄せる波の先だけは白く
足元に届けられて

よーく目を凝らして見てごらん
水平線が弧を描いている
停留しているタンカーが遥か沖のほうで
小船のように小さいのを見届けたら

夏のような、秋のような、
どちらでも不都合はないけれど
陽射しが波間にきらきら踊って
気づけば空は晴れ模様
みるみる海は染まる、青

もう秋
と、思ったのは間違いだったのかもしれない
少なくとも、この日この場所は

焼けた肌
砂の残る足元
潮の香りを
サイドシートに乗せて帰る

海へ行きたいという願望と
炎天下は苦手という理由から
真夏を避けたはずの
夏の終りの
秋の初めの


家まで続く道には
ススキの穂が揺れている


自由詩 海を連れて帰る Copyright LEO 2006-09-11 20:07:00
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