ワン
モリマサ公

月が

沈む




やけっぱちでアッパーな呪文で


東京湾へ流れ込む川の底のような
町をそのように歩き始める
僕たちは僕たちの位置を確認する
ニートフルな事情でぬるい現実を泳ぎきる為の筋力

ホームレスのような瞳の映し出す水のいろと
くびにまかれたタオルに汗たちは吸い込まれていく
裸足という感覚でよこぎる地上
ボディーという重力
中ちゃんが
中川の中州で動かなくなって半日
カラスはやけにおおきくみえる

ぶわさぶわさ
流れていくものをじっとみつめる
地域や天候におうじて
軌道上を辿りながら
みんなどこにいくんだろう
ザイオン
地平線
空気
わたしたちはそういうものになりたがった
幼稚園児たちの
天使のような産毛のひたいで
てのひらが合わさる
そのてのひらの間からひかりみたいのがわきでてまぶしい
とてもまぶしい
みたいにとしよりたちがまるくなる
自転車が脇をとおりすぎていく
石切の石は
水の上をずーっとはねて
ずーっと川をわたってって
ふいに見えなくなる
全ての生物がオーラをはなっていてうざいね
あたらしい色なんてもうないのに
まじりあうすべてのモザイクたち
なんどもかけられていく規制のなかで
人類としての軽さややわらかさでつがう若者
しめりけをおびてのびていく腕や足
あるいは乾燥してしなびていく肌やそのうえでひかる
アクセサリーや時計たち
ぴかっ
反射するたびにまぶしくて目を閉じる
きらきらする
指の間から見上げた先にみなれぬ空間がひろがって
あたりまえのように不安だね
あしの裏は地面をつかむ
このあたりまえの速度からふりおとされぬように
産毛や新しいはっぱのように透けながら
やわらかい和音みたいにかさなりあってゆれながら
バベル
のように斜めにかげがのびるずーっととおくまで
交差点や歩道橋をわたるおばけたちのように

ずーっと





















自由詩 ワン Copyright モリマサ公 2006-09-10 22:10:21
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