金魚の時間(三日目)水
愛心

私たちは更衣室で着替えると
休憩所で落ち合うことにしました
私が行ったときには
もう夢月は出ていました
「早く泳ごっ!」
私が言うと夢月は笑って言いました
「ああ・・・
 つーか紅香は泳げんの?」
「もちろん!
 だってあたし金魚・・・じゃなくて
 泳ぐの慣れてるもん!」
私がそう言うと夢月は
私の手を引いてプールに入りました

久しぶりの水の中です
私はゆらゆらと水に浮きました
立とうとした瞬間
私は水しぶきを
夢月にかけてしまいました
「おわっ!?」
驚いた夢月は
プールの中で転びました

それが異常に面白くて
私がクスクス笑うと
夢月は悪戯をする
子供のように笑いました
そして私に向かって
水しぶきをかけてきました
「何すんのよ!」
「紅香が先にしたんだろ?」

私たちは遊びました
周りから見れば
バカップルといわれるものだけど
私からしたら最高の時間でした

突然のことでした
私と夢月が一緒に泳いでいると
上から雨が降ってきました
高い椅子に座っていた男の人が
ラッパに似た物を待って
大声で言いました
「雨が降ってきました
 プールに入っている人は
 すぐにあがって
 テントの下に行って下さい」

私と夢月は急いであがりました
テントの下は
どこも人でいっぱいでした
唯一陰になっているテントに
少しだけ余裕がありました
夢月は私の手を引くと
テントの下に連れてきました
「俺ちょっとタオル取ってくるから
 ここで待ってろよ」
私がうんと返事をすると
夢月は更衣室に走って行きました

私の周りには
夢月より一つか二つ年上の男の人が
沢山いました
私は目を合わせないように
下を向いていました
いきなり肩を叩かれました

私が振り向くと
金色と茶色の髪をした
男の人が立っていました
「君さ一人?」
「あの・・・違います」
私が言うと男の人は
私の肩に手を置きました
「君高校生でしょ?
 俺ねマオっていうんだ
 ここにいてもつまんないし
 家においでよ」
私は恐ろしくなりました
『夢月っ!助けて!』
私が泣きそうに縮こまっていると
誰かに抱きしめられました
夢月でした


自由詩 金魚の時間(三日目)水 Copyright 愛心 2006-09-10 15:46:14
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