「 放課後の回遊魚。 」
PULL.
明かりの消えた教室で、
ひとりふたりと、
席につく。
学籍のないぼくたちは、
幽霊みたいにゆらいでて、
いつも不安で不安定。
黒板のかすれた数式は、
もう解けない。
机の上の落書きは、
残されたままなのに。
知らないことが増えて、
いつのまにか追いつけない。
見失った教室の居場所。
放課後が終わらない。
吸い殻みたいに、
ねじ曲がって、
捨てられる。
どこにもゆくところないから、
捨てられた教室に戻る回遊魚。
ぼくたちは、
放課後の魚たち。
了。
自由詩
「 放課後の回遊魚。 」
Copyright
PULL.
2006-09-09 14:16:48
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