カラコロクル
紫翠

葡萄の葉陰にいだかれて
青い果実のひとふさは
日ごと重くなりました

花びらのかわりに
熟れた種子をいっぱいにして
向日葵は皆うなだれました

高い空
すうと流れる
赤とんぼは寂しかろ
あの夏の日に群れ飛んだ あの子はどこへいったろか

日も落ちて
涼風の波間に
そっと枝を離れた木の葉
漂う りゅうりゅう虫の声

泣いているよな 靴音
響かせて 霧の中 
ふと 立ち止まれば
この においをおぼえている

さよなら、の
長い影をひいて

からころ
からころ
秋はくる


自由詩 カラコロクル Copyright 紫翠 2006-09-08 23:44:07
notebook Home 戻る