夏の残滓
杉菜 晃


シーズンオフの海
半ば砂に埋まつたビーチパラソル
ピンクのドームの下に
蟹が一匹ハサミをもたげる


どこから切り裂いて
片付けたものか
パラソルを見上げて
蟹はむづかしい貌


ビキニもパンツも
すでにここにはゐないけれど
ピンクの大クラゲを始末しないことには
夏は終らない


空き缶を押していくヤドカリもゐて
浜辺は一時賑はつて夏は果てる






自由詩 夏の残滓 Copyright 杉菜 晃 2006-09-08 12:34:52
notebook Home 戻る