あの子は遠くの星を見ている
プル式

流れる川の様な風の中で
月は太陽に嫉妬する
光があるから陰があり
太陽があるから月は輝く

あの子はじっと目を細め
息を殺す様にして遠くを見つめる

まるで
そこに何かが居る様に

まるで
世界の果てを見る様に

ある日
小さな虫を殺したあの子は
それを
いつまでも眺めていた

かわいそうにと
呟きながら

悲しそうに
呟きながら

僕は言う
君が殺したんだと

僕は言う
君は偽善者だと

彼女は少し悲しそうな顔で
僕に囁く

あなたが
殺せば良かったのに

あなたが
いれば良かったのに

僕は君に何も言えなくなる
僕は君に謝りも出来ない

僕は彼女の事が好きかも知れない
いや
僕は彼女に憧れているのかも知れない

彼女は遠くの星を見ている
それはとても小さく
そして眩い


自由詩 あの子は遠くの星を見ている Copyright プル式 2006-09-05 23:17:35
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