肯定ペンギンの消えたコロニー
Lucy.M.千鶴

わたしは 小学生の頃
ずうっと
いじめられていました。

掃除の時間の
締め切った
理科実験室で
彼女達は
一列に列を作って
一人づつ順番に
わたしの頬を
殴ってゆきました。

ある日
一人の優等生が
こっそり
小声でいいました
「ごめんね 痛くないようにぶつからね」
慣れてるから 平気
わたしも 小声で言いました
彼女は ぶちました
けっこう 痛かった

「ごめんね・・・」を聞く前なら
さほど 痛くなかったかも知れません

近頃、
動物園の動物達がたりないと云って
世界中の動物園から
皇帝ペンギンのコロニーに
人間達が やって来ました。

仲間を少し
連れて行って いいかい。

ペンギン達は 肯いて 肯定しました

ほんとうは

家族と離れるのは
恋の相手と離れるのは
友達と離れるのは
大好きな土地と離れるのは

嫌 だったのに・・・

そんなことが
繰り返されているうちに
とう とう、 コロニーのペンギンは
全て 世界の動物園へ
連れて ゆかれました。

ただ ひとり
ただ いっぴき

首を横に振れば

いじめ も なくなる

コロニーノペンギンも

連れ去られてしまうことは

なかったのです。



自由詩 肯定ペンギンの消えたコロニー Copyright Lucy.M.千鶴 2006-09-04 11:13:38
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