流星群がつれてくる
夕凪ここあ

秘密と呟けば
何か呪文のようで心地良い
おんなのこ
ないしょと声に出せば
かわいらしいのに

秘密
お月様が昨日より欠けてく 
ずいぶんと
欠片が順々に宿る秘密
昼間花柄が映えていた
おんなのこの爪の先へと

ないしょから秘密へと
言葉が移ろいだのは
きっと夜の間だったわ、と
少女だった面影が微かに薫る
おんなのこの大人びた横顔

夜になるとこの町は
透明に包まれる
とうめいは知らないけれど
透明に支配されてく淡い
色彩模様

とうめいは
おんなのこのいちばんの秘密事
透明からとうめいへと変わってく様を
きっと見れるのは夢の中だけ
朝には忘れてく

明日が今日になった頃
眠りについた町でおんなのこ
ひとりで夜を掻き乱す
お月様のぬけがらを宿した指で
生まれた風
抜け落ちた音
今はもう、眠りについて

おんなのこが引っ掻いた
夜の隙間から
ぽろぽろと
零れる金平糖

もう空から 
なくなってしまった
星の砕けたものだなんて
気づかないおんなのこ
まだないしょの方が似合う年頃

空の
点と点の間を
行き来する、眠る間に
金平糖の甘い香り
ひとつ、またひとつ
ぽろぽろと
零れてくそれを
とうめいとは、
知らない色だから
誰も呼べない
秘密を呼んだ
おんなのこでさえも


自由詩 流星群がつれてくる Copyright 夕凪ここあ 2006-09-03 14:30:00
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