金木犀
未有花

この坂道の途中に
大きな金木犀の木があります
毎年秋になれば
そのやさしい香りに足を止め
この木を植えた人を思います

開け放された窓からは
ピアノの悲しげな音が響きます
赤茶けた壁には
色づき始めた蔦が絡みつき
秘かに秋の気配を運びます

ほんの通りすがりの出来事さえ
安らぎを与えてくれるもの
木漏れ日に振り向いたあなたが
今でも心に残っています

この坂道を通るたび
やさしいその面影を探します
黄昏時の影が
もう閉ざされた窓辺に重なれば
ほのかに金木犀が香ります


自由詩 金木犀 Copyright 未有花 2006-09-03 12:59:31
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