蜜柑色の試食肉
あおば

騒いでいるときに聞こえる歌声は
なんだか知らないメロディーは
ボートの中の水あかの貯まり水
捨てられるために汲みとられ
完全無欠のお殿様に捧げられ
走り出すのは蜜柑色したキリギリス
私たちのかけがいのない試食肉を咥えてる
イカレタ男の靴音に紛れて拗ねる歌声に
夏の花火のドカンと弾ける音に試食肉
目玉を売り出すキノコ達
埃のないキノコの行列要りませんかと
ドカンという音投げつける無理難題のお殿様
ぱちぱち爆ぜる花火の星に挽肉を和えて
ハンバーグの焼ける音に溶けて弾ける穀潰し
咥えたタバコの蜜柑色した煙の子供たち
空に高く這い上がりぱちぱち火の粉をまぶす
弾ける弾丸、溶けるバターのハンバーグ
焼き肉、揚げ肉、混ざり肉の繁殖模様
尖った視線に反り返る肉食獣の試食肉
蜜柑色した試食肉の無理難題を聞き逃す

長い手紙を書き終わる
二つ目小僧の土曜日に
汚れた食肉埋めたぞ
冬になったら掘り起こし
蜜柑色した食肉の埃を
顕微鏡のように味わうと
自信たっぷりに書き終わる。


未詩・独白 蜜柑色の試食肉 Copyright あおば 2006-09-02 02:10:33
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