ストロー
芳賀梨花子

あたしのストローは
ほろ苦いジュースで
あたしを苦しめたり
悦ばせたりする
でも大好きだから
あたしはいっつも
ストローお口に含んで
運ばれてくる液体は
全部のみほしちゃう
たまに、お疎祖したりして
おっぱいとかにこぼしちゃうと
もったいないから
お肌にすりこむの
それはそれでいい気持ち
昔、安部定って人が
切り取っちゃった気持ち
すんごくわかるよ
こんなに
あたしにあってるんだもん
他の女なんかに
とられてたまるか
とられるぐらいなら
食べちゃおう
食べちゃったら
ストローなくなっちゃうから
あたし生きていけなくなっちゃって
でも、死んだりしたくないから
きっと、また別のストロー探すのかな?
太かったり細かったり
長かったり短かったり
曲がるストローもいいかな
とか思いながら
何本も何本も試して試して
それでも、今のストローが
一番だったらどうしよう
やっぱり、食べちゃったこと
後悔して
また、あたし、生きていけなくなっちゃって
それでも、やっぱり
まだ死んだりしたくないないから
きっと、また別のストロー探しはじめて
何本も何本も試して試して
世界中旅して
色んな色のストローを
何本も何本も試して試して
あ、縞々とかもあったらいいな
それでも、やっぱり見つかんなくって
いいかんじのおばーちゃんになったら
世界平和に貢献したって
ノーベル平和賞もらえるかも
などと思いながら
あたしは今日もストローでジュースを飲むのだ


自由詩 ストロー Copyright 芳賀梨花子 2006-09-02 01:41:24
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