結界樹
黒川排除 (oldsoup)

少年少女の斜線部 成長のたび減る

針金で縛られた書簡霞に吊るす

コンパスの上半身を他国から見る

栞は砂しかもサハラの貧しい村

魚の形の輪乱すダンスいつか陸へ

火の粉に礼 頭もげるまで

死亡見つめていた駱駝生きるとは失うことだ

胎盤に塵ためて和む対岸の火事

農耕終えて透明な神の手を貸しなさい

靴箱の奥の引き戸が無くなっている

木馬今までありがとう遠ざかる時計店

震える携帯残しなにもかも静かな鐘

地球儀をどけるとそこだけ燃えていた

地図はこどものくに鉛筆の刑で死ぬ

オオオニバスが浮かび上がって江戸時代

抜け道を靴を、と胸中にせりだす森

無径の広場で屋台が雫を売っている

終電に帽子と手袋だけの駅長

高すぎる背丈の記憶 両面低部の淡き竜

桃の解剖どんどん幸せな家庭


川柳 結界樹 Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2006-08-31 13:13:28
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