夜のセミ
umineko

セミよ
そんなに急ぐな

さっきから
空を見上げてばかりじゃないか
お前の
自慢のその羽は
ただ
アスファルトを掻くばかり

セミよ
今なら見えるだろう
あれが星座だ
私も昔
見上げたことがある

夜の
芝草に寝転んで
大三角を指で追う

遠い
世界の無から無を
ただやみくもに追いかけた

私が
戻れないように
セミよ
お前も戻れない

セミよ
お前が風に戻って
かさかさと
私の夜を揺らすなら

私は
でたらめな歌で
お前の旅を祝福する

なあに
少しだけ
時計の軸が異なるだけだ

お前と


何度でも夜を抱き


 


自由詩 夜のセミ Copyright umineko 2006-08-28 23:21:54
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