ノート(月)
木立 悟



ひとりの子が崖に腰かけ
流れ落ちる雲を見ている
左手に大きな一枚の葉を持ち
右手を降りようとはばたく鳥に差し延べる
鳥は子の手を傷つけることを迷い
崖のまわりを旋回している



右手と微笑みのかたわらを
雲は金にかがやき流れ落ちる
滝を乗せて進む船のような
明るい夜の崖の上で
一羽の鳥とひとりの子が抱きあうとき
葉は翼となり
とどろきは高まり
月は雲のふちどりを増してゆく





未詩・独白 ノート(月) Copyright 木立 悟 2004-03-07 07:04:55
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