黒い軋み(十六)
信天翁

田舎まちに転居して別々の日だが 初めてわたしは見た
     大通りのど真ん中で 車のいけにえとなった
                  殿様蛙の煎餅と
             野鳩のむごたらしい剥製を 

             そして そのときに感じた
                此の岸のざわめきと
               彼の岸のささやきとが
             一瞬のうちに交差するのを
               厳粛な四次元に対する
                いとおしさとともに

            しかも このことは けして
        デビルにわたしがとりつかれたのでも
           フェアリーに洗脳されたのでも
                   なかったのに



自由詩 黒い軋み(十六) Copyright 信天翁 2006-08-21 22:54:10
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