日の涼しいころ、
白い開襟シャツを着て家を出る
それでも蒸した空気が
まだ動こうとしないない路地
鉢植えのしぼんだ花たちや
だらりとぶら下がる 垣根の瓢箪
妻がデパートで買ったという、
クレープの下着。
しゃりしゃりした肌心地も
たちまち失せて
ご近所の打ち水、
洗車する兄チャンの手にもつホース
派手なピンクやイエローの浴衣で
アイスキャンディーを舐めながら歩くのは、
すこしエッチそうな金髪娘たちと
アロハを着た 坊主頭の少年
右目に ものもらいが出来ちゃって、
眼帯をして
お医者へ通う
胸のあたりの 汗の滲み、
道ばたにしゃがむ浮浪者と犬
「帰り道は、きっと一杯ひっかけなくちゃ!
僕の目のまえに煙がたちこめ
あの香ばしい匂い、
焼き鳥と泡立つジョッキ
グラスに浮かぶ 琥珀の汗