金魚の願い
愛心

私はスッと退きました

嬉しいような
恥ずかしいような
変な気持ちが身体中に広がりました

夢月も壁から唇を話すと
ゴハンを落としながら言いました

「紅香って
 もしかして俺に惚れた?」

私はドキドキしながら
コクコクとうなずきました
夢月は私を見ながら言いました

「俺も好きだよ
 紅香 綺麗だもんな
 お前が人だったら
 俺 紅香を恋人にする
 絶対に約束だからな」

そして優しく笑いました

私は身体中が熱くなって
プシュルルーっと音を立てて
地面に座り込みました
顔を上げると
夢月はどこかへ
行ってしまったようでした

私は我にかえると
嬉しくて嬉しくて
ひらひら泳ぎました

「私のこと好きだって!
 私が人だったら
 恋人にするだって!
 キャーって・・え?」

私は泳ぐのをやめて
木にもたれました

『私は金魚だから
 夢月の恋人にはなれないの?』

わかった途端
涙が出てきました

『何で私は
 人じゃないの?』

涙は止まりません

『お願いです神様
 私を人間にしてください
 綺麗な浴衣もいりません
 どんな物でも差し上げます
 だから私を人間に・・・・・』

 




自由詩 金魚の願い Copyright 愛心 2006-08-18 19:29:54
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金魚の恋物語