まひる  ひびき
木立 悟




陰に傾く風の段
昇る背のうた 色の段
去る朝に向け振られる腕に
空に光にたなびく水旗


棄てられた明るさの街を駆け
風に剥がれたかけらを歩み
曲がり角の影の息を踏み
置き去られた熱の段を踏む


上と下にしか飛べない光
見えない筒を描きながら
かわいた足音の呼びかけを
暗がりに暗がりにくりかえす


氷のなかの空気の色は
ほんの数時間前に
水の傾きと戯れた虹
還ることを知らずに空を見つめる


花と骨 花と骨
下へ下へと入れ替わり
降る暗がりを受け取る手
踏みおりる踏みおりる熱の段


鉄を確かめ 打つ音が
風を線に冷やしては
青と青のゆがみを越えて
鉱の地平に伝わってゆく














自由詩 まひる  ひびき Copyright 木立 悟 2006-08-18 12:53:48
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