病院
atsuchan69

深夜、笑いが止まらなくなって
救急車でどこかの病院へ運ばれた。
診察室でキスをしている看護婦と女医が裸になり、
救急士たちは担架にのせた僕をかついだまま
いつ果てることもない彼女たちの行為を黙って見届ける
 「クスリを一錠、二錠・・・・
 といって別の看護婦が
僕の鼻の穴に座薬みたいな奴を ふたつ詰めた
//楽になれますよ
 僕が載るはずの診察台で
女医と看護婦が抱き合ったまま離れない。
 「とりあえず患者さん、
 バケツの中にでも入れて置いてください
 朝になったら棄てに行きますから。

                    そして朝となり、
屋外の廃棄物処理場みたいな所に
僕は棄てられていた
 使用済みの注射針がチクチク
カラダのあちこちに突き刺さっていた。
 朝飯を摂ろうと思い、
笑いながら建物に戻ると
 廊下で立ったまま
牛乳をのんでいる爺さんがいた
 「爺さん、朝から元気そうですね
 「いやナニ、明日あたり死んでしまう予定ですじゃ
 「そうですか、あははは

地下の大食堂へ行くと、
食券売り場でビールとサンドイッチを購入し
窓際の空いている席に就いて
 「よう、姉ちゃん。まずビール先に持ってきてくれ
とウエイトレスに頼む。
 「かしこまりました
正面の壁に掛けられたフラットパネルモニターに
派手な衣装を着たダンサーたちの乱舞、
ナントカ霊園のCMが映っている

 僕のまわりには
 眼帯をした松葉杖の人やら、
 頭に包帯をぐるぐる巻きにした人
 点滴だの呼吸器をつけたままの人がいた

間もなくビールが運ばれ、
             僕は笑いながら
        琥珀色の
   生きている証しを
            ぐっと咽喉に通し、
 「あっ!
抜き忘れた首筋の注射針を
 一本、外した。


自由詩 病院 Copyright atsuchan69 2006-08-14 17:32:41
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