真夜中の光合成
士狼(銀)

御月様おんつきさま
どれほど 偉大か、
気が付いたのは
絶望の重みに
耐えられなく
なった 夜道 
十字路にある
自動販売機の
灯 だけが
ユメを見せてくれた

それから、
電線の罠で
幾夜も誘うと
御月様は
この掌に 
小さな、
小さな幼子を
そっと
白い溜息の
血流のように
載せて


待ち人との約束を 
果たしに行かねば、
ならぬ
コソボで処女たちの
祈りを 叫びを 聴く
そういう 約束を、
太陽と交わしたのだ

口元に
艶やかな笑みを
湛えて 
光の爪先を
少しだけ 
罠に絡めて
そうして、
幼子は
胎生のようで
この胸の中で
ひっそりと
希望を育みながら、
内側から
語りかけ始めている


自由詩 真夜中の光合成 Copyright 士狼(銀) 2006-08-11 00:59:27
notebook Home 戻る